グレート百名山3つ


飯豊山

( いいでさん) 2,105m (最高峰は大日岳 2,128m) 日本百名山 花の日本百名山
山形県西置賜郡、新潟県東蒲原郡、福島県喜多方市
東北アルプスとも呼ばれる大きな山塊に広がる美しい稜線

体力 :
難易度:
満足度:

(写真: 大日岳からの飯豊連峰)

飯豊山の紹介
どんな山?

飯豊連峰は、新潟県、山形県、福島県にまたがる大きな山塊。東北アルプスとも呼ばれ、長く伸びる稜線が非常に美しい山です。非常に雪が多い地域で遅い時期まで雪が残り、そのため、2、000メートルあまりの標高にしては、高山植物も非常に豊富な山です。
主峰は飯豊本山で、標高2,105メートルですが、最高峰は2,128メートルの大日岳です。

コース紹介

飯豊山の南東の川入方面(御沢野営場)より入山し、飯豊本山を経て、最高峰の大日岳までを1泊2日で往復します。2日ともコースタイムは10時間を越えるロングコースですので、体力に自信の無い方は2泊にするか、飯豊本山を往復としてください。

ちなみに、飯豊の山小屋には、食事や布団が無い小屋も多いため、シュラフや食料・調理道具は自分で運ぶ必要があります。

登山記録
登山日 2016年8月11,12日
天気 晴れ、快晴
駐車場 御沢野営場駐車場
コース 御沢野営場(5:20)⇒(8:30)三国岳(8:50)⇒切合小屋(10:30)⇒(12:40)飯豊山(13:00)⇒御西小屋(14:10) / 8時間50分 (CT 11時間10分)
御西小屋(5:10)⇒(6:20)大日岳(6:40)⇒(8:50)飯豊山(9:10)⇒(10:20)切合小屋(11:05)⇒三国岳(12:20)⇒御沢野営場(14:30) / 9時間20分(昼食 45分) (CT 12時間40分)
御沢野営場より飯豊本山を経て御西小屋へ

御沢野営場登山口 (標高: 550m)

2016年に始まった8月11日の『山の日』。記念すべきこの日に登るのにふさわしい山を考えたところ、百名山の中でも登るのが最も(体力的に)大変とも言われる飯豊山を選びました!

飯豊山の登山口はたくさんありますが、最もポピュラーな川入、御沢(おさわ)野営場から入山することとしました。登山口は駐車場の脇にあります。登山届けを提出して山の日登山開始!


御沢小屋跡 (標高: 570m)

登山口からは、森の中の林道をしばらく歩きますが、この御沢小屋跡の分岐で右に曲がって、長坂という本格的な登りとなります。

下十五里

最初は階段を登って、そこからは木の根なども混じる急登に。標高差は800メートルほどですが、この日は暑かったのと、シュラフ・調理器具の入った荷物が重くて、へとへとに・・・

下十五里、中十五里、上十五里、笹平と、ほぼ等間隔に休憩ポイントがあるので、多少は精神的に楽でした。


水場

横峰小屋跡を過ぎるとやや楽な登りに。地蔵水場道の分岐を左に行くと、水場がありました。疲れた時は、こういう冷たい水がめちゃくちゃおいしく感じられます。

ちなみに、翌日は快晴&猛暑で、下りにもかかわらずここで水をがぶ飲みしました。


三国岳への登り

木の間から、次第に飯豊の山の姿が見えるようになります。最初のピークは三国岳。先ほどまでは快晴でしたが、ちょっとガスってきて、やや不安に。。

鎖場

三国岳への登り岩場の連続もある急な岩場もあります。それほど危険な岩場ではありませんが、ここを通過するときは充分注意してください。個人的には、危険というよりも、とにかく長くてきつく感じられました。今回の山行でいちばん体力的に辛かった場所です。

三国岳より (標高: 1,644m)

ピークっぽい所にたどり着いては、まだ山頂じゃないのか、、、というのを何度か繰り返して、ようやく三国岳にたどり着きました。しんどかった・・・

三国岳は三国岳避難小屋があるところで、その前の広場からは、初めて飯豊連峰の姿を目の当たりにすることができました。まだ、左側のピークが最高峰の大日岳。飯豊本山は右側の山(種蒔山)の向こうに隠れています。8月中旬のこの時期にもまだ残雪があるとは思ってませんでした。ちょうど残雪のあるあたりに、本日の宿泊先の御西小屋があります。コースタイムはここから6時間ですが、意外と近いように感じられました。が、甘かった・・・


ハシゴ

しばらく休憩して、種蒔山、切合(きりあわせ)小屋へと向かいます。途中、少し足場の悪いところもあったり、ハシゴ付きの岩場もあったりします。

それよりも、日差しが強くとにかく暑かった。ちょうど体の後方から日が当たっていたので、後頭部を帽子のつばで隠してやると、いくぶん体力回復。

このあたりからはお花も多くなってくるので、目の保養をしながら進むのもいいと思いますよ。


飯豊本山遠景

急な登りはないものの、小さな登り下りを繰り返しながら進みます。距離や標高差の割には時間がかかりました。が、進むうちに、次第に飯豊本山の姿も近くに見えるようになります。

ちなみに、地図に載っている種蒔山の山頂は良く分かりませんでした。おそらく巻いて通過したのだと思われます。


切合(きりあわせ)小屋 (標高: 1,740m)

そしてようやく到着した切合小屋。ここで少し一服。ここでは、水がホースから垂れ流しになっていて、無料で水を補充できます。行動食でエネルギーも補給して、さあ飯豊本山に向けてGo!

飯豊本山への稜線

切合小屋から少し登って、草履塚という小さなピークを過ぎると、飯豊本山の姿が目の前にドーンと立ちはだかります!そこへの道の全容もようやく明らかになります。

美しい稜線!本当にいい山だなとつくづく思えてきました。(ただし、ずっと正面のピークが飯豊本山だと思っていましたが、本当の飯豊本山は左側ガスのかかったあたりのピークです。)


御秘所

少しアップダウンを繰り返すと、鎖のある岩場が現れます。ここは御秘所という所らしい。さほど危険な岩場ではありませんが、ルートが非常に分かりにくい。先を見ながら慎重に通過。

最後の登り

岩場を通過すると、あとはこの美しい稜線を登るだけ!でも、結構距離もありそうで、結構な急登のように見えます。最後の試練です。

岩ゴロゴロ坂

緑の美しい稜線とはうらはらに、最後の登り坂は岩がゴロゴロした道です。標高差は200メートルほど。あせらずに、一歩一歩着実に登ってください。

山頂!?

ようやく坂を登り切って山頂だ!!と思ったら、まだ先はあるようで。。。でも、あのケルンや建物のある辺りが山頂に違いない!?

本山小屋

建物は本山(ほんざん)小屋。飯豊の中ではいちばん立派な小屋のようです。あれ、山頂らしきところがないぞ・・・

山頂は遠く...

小屋を通り過ぎて、通りがかった人に「山頂はどこですか??」と聞いてみたら、あれだよと・・・まだあんなに先・・・
でも、なだらかそうな登りなので、さすがに、気分は楽になりました。

飯豊本山山頂(標高: 2,105m)

そして、やっと着きました!飯豊本山山頂、標高2,105メートル!

ここまで7時間20分。コースタイムは9時間40分。
長かった。。
暑かった。。
荷物重かった。。
噂どおりの大変な山でしたけど、その苦労を補って余りあるほどの素晴らしい景色が周りに広がります!


飯豊連峰の景色をお楽しみください
飯豊連峰の景色をお楽しみください

烏帽子岳・北俣岳

飯豊本山から北方にある烏帽子岳と北俣岳。北アルプス的な少し険しく、そして美しい稜線です。(翌日に撮影した写真)

大日岳

正面奥が飯豊連峰最高峰大日岳。少し険しそうですが、そこに向かう稜線は穏やかで緑が美しいです。こちらの方に向かうと、この日に宿泊する御西小屋があります。(翌日に撮影した写真)

稜線を行く

飯豊本山から西へ降りる。御西小屋へは、駒形山、御西岳という2つの山頂を通過するが、どちらも、どこが山頂かよくわからないほどなだらかな山。でも、稜線の緑、残雪の白、空の青のコントラストがとても美しい。

マツムシソウ

飯豊連峰は花の百名山。ここまでも花は多かったのですが、飯豊本山の先はさらに花の数が増えます。最も目に付くのは紫で華やかなマツムシソウ

ニッコウキスゲ

飯豊は雪が多く遅くまで残るため、他の山では7月頃には終わるニッコウキスゲもまだこの時期に咲いていました。

イイデリンドウ

そして、飯豊連峰にしか分布しない固有種のイイデリンドウ!花びらが星型に開いたリンドウです。

御西岳避難小屋 (標高: 1,990m)

飯豊本山からコースタイムで1時間強。なだらかな稜線とは言え、この日トータルで約9時間の歩行はさすがに長い。へとへとになって、ようやく本日の宿、御西岳避難小屋に到着!

まぁ、見ての通りの小さな小屋。収容人数は30人、料金は2,000円。水場はここから5分ほど降りたところにあります。

管理人はいますが、あくまでも避難小屋。食事は出ませんし、布団もありません。調理器具とシュラフは必須。木の床ですので、できればマットもあった方がいいと思います(自分は軽量化のため持っていきませんでした)。


佐渡に落ちる夕日

疲れたので小屋でしばらく休眠。。周りがガヤガヤしだしたので、外に出るときれいな夕日。飯豊連峰は日本海に近い場所。赤い夕日佐渡島に落ちていきました。

夕暮れの飯豊連峰
夕暮れの飯豊連峰

御西小屋から大日岳へ

朝日を浴びる大日岳

日没後はまた爆睡。。朝4時頃には、また周りががさがさしだしたので、いやおうなく起床。残念ながら御西小屋からは、地理的に御来光はみえず。でも、朝日を浴びたモルゲンロートの美しい山々を見ることはできました。朝食を取って、あの大日岳に向けて出発!

ハクサンイチゲ

大日岳へは、御西小屋の裏、テント場の脇を降りていきます。降りたところは、まさに高山植物のお花畑。そこまでには無かった花が咲いていました。ここで、お花の撮影タイム!この写真はハクサンイチゲ

チングルマ&イワカガミ

そして、高山植物の代表格、チングルマとイワカガミのツーショット。

アオノツガザクラ

かわいらしい壷形のアオノツガザクラ

トリカブト

夏の遅い時期から秋に咲くトリカブト。その他、ツリガネニンジン、ヨツバシオガマ、マツムシソウ、ウメバチソウ、ウサギギク等々。早い時期から遅い時期の花まで、たくさんの種類・数の花を見ることができました。

大日岳への登り

お花を楽しんだら、いよいよ最高峰の大日岳へ。見かけほどの急登ではありませんでした。着実に一歩ずつ進みます。朝一なので足は軽快。

大日岳山頂 (標高: 2,128m)

そして、飯豊連峰の最高峰大日岳山頂、標高2,128メートルに到着!登山口からの歩行時間は約10時間。長かったー!でも充実感でいっぱい!山頂からはもちろん大パノラマ!

東北の山々

山頂からは東北南部の山々が見えます。
右の双耳峰っぽいのが磐梯山
中央奥が安達太良山
左が吾妻連峰
どれも日本百名山。

西大日岳

美しい稜線でつながる西大日岳。その向こうにはうっすらと佐渡島

飯豊連峰

そして飯豊連峰の姿。烏帽子岳、北俣岳、門内岳へと続く美しい稜線。いつかはここを縦走したいです。

ここで折り返して、登山口の御沢キャンプ場まで下山。2日連続でコースタイム10時間超という行程でしたが、飯豊連峰の素晴らしさを充分に堪能できた素晴らしい山行となりました。


感想

大きな山塊、美しい稜線、豊富な高山植物。これまでに登った山の中でもベスト3に入るほどの素晴らしい山でした。

今回は飯豊連峰の南部を縦走しましたが、これでもまだ飯豊連峰の半分も歩いていません。機会があれば、全山を縦走してみたいです。

登山情報
アクセス

川入へはJR磐越西線の山都駅からバスが出ています。

危険箇所

三国岳への登り、三国岳から種蒔山の間、飯豊本山への登りの途中に岩場があります。特に、三国岳への登りは岩場・鎖場が連続しますので、注意が必要です。

他ルート

飯豊本山へは、三国岳の南西の弥平四郎からのルートが最短ルートのようです。

その他、北側の飯豊山荘からのルートや、えぶり差岳からの縦走ルート等があります。

温泉

川入から少し下ったところに、宿泊施設も備えたいいでのゆがあります。

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