グレート百名山3つ


穂高岳(奥穂高岳)

( ほだかだけ) 3,190m 日本百名山
長野県松本市、岐阜県高山市
山の美しさ、登る楽しさを兼ね備えた日本屈指の名山

体力 :
難易度:
満足度:

(写真: 上高地から臨む穂高連峰)

穂高岳(奥穂高岳)の紹介
どんな山?

北アルプスの最高峰である奥穂高岳(3,190m)を中心とする険しくも美しい山々。

観光地である上高地からも見える山岳風景は、雪と岩、水の青と空の青、夏の緑と秋の紅葉、色彩のコントラストが見事な日本を代表する山岳風景です。

標高差が大きく、岩場もあり、登っても楽しい山です。
コース紹介

初日は、上高地を出発し梓川沿いに横尾山荘で一泊。

二日目は、カール地形や紅葉で有名な涸沢を経由し、穂高の稜線上に建つ穂高岳山荘までを登る。

三日目は、いよいよ奥穂高岳に登頂。前穂高方面へ吊尾根を歩き、上高地まで一気に下る。

登山記録
登山日 2013年8月16日~18日
天気 晴れ
駐車場 沢渡駐車場
コース 1日目: 上高地(14:15)⇒横尾(16:55) / 160分
2日目: 横尾(6:15)⇒本谷橋(7:20)⇒(9:55)涸沢ヒュッテ(11:00)⇒穂高岳山荘(14:10)
3日目: 穂高岳山荘(6:15)⇒(7:05)奥穂高岳(7:40)⇒紀美子平(9:35)⇒岳沢小屋(12:30)⇒上高地(15:00)
1日目:上高地より梓川沿いに横尾山荘へ

上高地河童橋(標高1,500m)からの穂高連峰

日本を代表する観光地である上高地
そこを流れる清流梓川にかかる河童橋
その橋からの穂高連峰の眺め。
今まで何度となく訪れてきたが、
何度見ても素晴らしい。
いつまで見ていても飽きない。
この風景を目にした瞬間が、
山野が山に目覚めた瞬間であった。

中央にそびえるのが今回登頂を目指す最高峰奥穂高岳(3,190m)。右側が前穂高岳で、その間に架かる屏風のような尾根が吊尾根である。


梓川のほとりで

本日の宿泊地である横尾へは、梓川の左岸を進む。距離にして約11キロほどであるが、ほぼ平らな道で、危険な箇所もない。途中の明神を過ぎたあたりで、梓川が大きく開ける場所があり、穂高の山々が見える。

横尾大橋(標高1,620m)

3時間弱で横尾に到着。正面の立派な橋が横尾大橋。明日はこの橋を渡り涸沢・穂高を目指す。

本日は横尾にある横尾山荘で宿泊。横尾山荘は予約制の山小屋であるが、1人1枚の布団が与えられるほか、お風呂もあり(ただし石鹸は使用禁止)、快適にすごせる山小屋である。


2日目:涸沢カールからザイテングラートを通って穂高岳山荘へ

横尾(標高1,620m)から朝の穂高連峰

朝5時半の朝日を浴びた穂高連峰。いよいよ穂高の奥深くに入っていく。標高差は約1,500メートル。途中で紅葉や雪渓でも有名な涸沢カールも通る、何とも贅沢なコースである。

屏風岩

横尾大橋を渡ると、まもなく左手に立ちはだかるように見えるのが屏風岩である。その奥に見えるのは南岳か?まだまだ先は長い。

本谷橋(標高1,785m)

横尾から森の中の山道を緩やかに登って約1時間。梓川の支流にかかる本谷橋に到着。河原に下りることもできる。この後は急登が控えているため、ここで休憩を取るのがよい。万年雪の涸沢カールから流れてくる川とあって、水が冷たくて気持ちよい。

本谷橋のすぐ先からジグザグ急登となる。急登は長くは続かないが、涸沢までは500m、穂高岳山荘までは1,200mの標高差があり先は長い。奥に見えるのが北穂高岳(3,106m)。高い!


裏吊尾根

本谷橋から約1時間登ってきた辺り。穂高の全容は分からないが、各峰々が少しずつ顔を出し始める。

写真は、昨日上高地からみた吊尾根を裏側から見たところ。右が奥穂高岳で、左が前穂高岳。裏から見ても美しい!


奥穂高&岩・ガレ

先の写真からさらに30分ほど。目の前が奥穂高岳。ピークが3つあるように見えるが、本当の山頂はどこか分からない・・・

また、足元は大きな岩やガレが転がっている。いよいよ穂高にやって来た感が高まり、急にワクワクし出す山野であった。


涸沢(標高2,300m)

本谷橋から約2時間。ついに涸沢に到着!日常の風景とは全く異なる別天地!雲は少し出てきたものの、好天に恵まれ非常にラッキー。写真は涸沢ヒュッテから。中央のヘリコプターは、涸沢ヒュッテに荷物を運ぶヘリコプターと思われる。

涸沢からの穂高連峰の絶景をご覧下さい!
涸沢からの穂高連峰の絶景をご覧下さい! 涸沢からの穂高連峰の絶景をご覧下さい! 涸沢からの穂高連峰の絶景をご覧下さい! 涸沢からの穂高連峰の絶景をご覧下さい!

ザイテングラードへ

いよいよ穂高岳山荘への登りの核心部へ。穂高岳山荘へはザイテングラート(赤枠で囲った箇所)と呼ばれる岩稜を登るが、ザイテングラートまでもガレ場の急登が続く。それほど危険ではないが、道に迷いそうな箇所もある。慎重に進もう。最後に、斜面を左側にトラバース気味に渡ってザイテングラートに取り付く。

ザイテングラート取付点(標高2,670m)

ここからザイテングラートの登りが始まる。右・左にジグザグと、本日宿泊する穂高岳山荘まで標高差約300メートルを一気に高度を上げる。

ザイテングラートを登る!
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穂高岳山荘(標高2983m)

ザイテングラートを登ること約1時間。登りきった所が、本日の宿穂高岳山荘。写真奥は奥穂高岳、反対側は涸沢岳と3,000メートル峰に挟まれた白出(しらだし)のコルという場所に立つ山荘である。山荘の前は石畳の開けた広場になっており、登山の疲れを開放させてくれる場所だ。

涸沢を見下ろす

穂高岳山荘からは涸沢を見下ろすこともできる。お昼を取った涸沢ヒュッテの赤い屋根ははるか眼下に見える。テントがカラフルできれいに見えるのもここならではの景色。

ここでビールを飲みながら、この日の山行に満足する山野であった。


3日目:奥穂高岳に登頂し、吊尾根を通って上高地に下山

ご来光

ご来光を見るために4時30分に起床。5時を過ぎてもおひさまは昇ってこない。周りもだいぶ明るくなってきて、今日はダメかと思ったころ、5時4分、

ご来光 現る!

地平線だと思っていたところよりもはるか下から現れて少々びっくり。たかが朝日じゃん、と言われればそれまでなのだが、山の上から見るご来光は何故かありがたく感じる。

左側のピークは常念岳。槍・穂高の絶好のビューポイントらしい。いつかは登ってみたい山だ。


奥穂への登り

さあいよいよ奥穂高岳(3,190m)へ向かう。朝6時でこの混雑。さすがに人気の山だ。まずは、長めのハシゴを2つ登る。昨日のザイテングラートよりも険しい登りである。慎重に進めばそれほど危険な岩場ではないが、初心者の方はとにかく慎重に。

岩・ハシゴの登り

ハシゴの直下からの写真。少し渋滞しているが、出発が遅かったのだから仕方ない。。周りには植物もほとんど無く、とにかく岩の世界。いやー、ワクワクしますね~。。

最後の登り

穂高岳山荘から、奥穂高岳までは標高差約200メートル、距離にして500メートル、 1時間弱の登りである。もうこの時点で標高3,000メートルは超えており空気も薄い。標高差・距離の割には、意外とつらく感じられる奥穂への最後の登り。

ジャンダルム

まもなく右手に見えてくる岩の台地がジャンダルム。あんな所に登ってる人いるんだよな・・・
そして、後ろには槍ヶ岳も見えている・・・
もう一息!

奥穂高岳山頂!(標高3,190m)

そして、奥穂高岳山頂、標高3,190メートル、日本第3位の高峰に到着!!山頂にはこの大きなケルンがあり、この上に立つと、日本2位の高さになるとか。。。そして、ここからの大パノラマをご覧下さい!

奥穂高岳からの大展望をお楽しみください!
奥穂高岳からの大展望をお楽しみください! 奥穂高岳からの大展望をお楽しみください! 奥穂高岳からの大展望をお楽しみください! 奥穂高岳からの大展望をお楽しみください! 奥穂高岳からの大展望をお楽しみください!

吊尾根・前穂高岳

奥穂高山頂は非常に名残惜しいが、今日中に上高地まで下りなければならない。奥穂高岳を後にし、吊尾根を歩く。予想通り両側が切り立った稜線であるが、実際は尾根の少し右側を歩くため、目が眩むような思いをすることはない。正面には前穂高岳がそびえる。

ライチョウの親子!?

奥穂高山頂より15分ほど下りてきた場所で、吊尾根ではライチョウに遭遇!20年前にここを歩いたときもライチョウに出会った記憶がある。北アルプスには2,000羽のライチョウが生息しているとのことだが、見た人には良いことがあるかも・・・

紀美子平(標高2,910m)

吊尾根を進むと、前穂高岳を巻いて、この紀美子平という所に着く。前穂高岳はここを左に登っていくが、ここは完全に岩場の登り。今回は都合により前穂高岳への登頂は見送った。ここから上高地へは、重太郎新道という急で危険なコースを延々と下りる。

穂高を見上げる

紀美子平から上高地に下りる重太郎新道は、急な岩場鎖場長~いハシゴ等が連続する危険なコース。途中の岳沢小屋までは直線距離にして1キロ未満で標高を700メートルも下げる。慎重に下れば1つ1つはそれほど危険ではないが、とにかく危険地帯が延々と続く。体力・精神力共にきついコースだ。さすがにこの間は写真を撮る余裕ナシ。とりあえず急な下りが終わったところで、穂高を振り返って仰ぎ見る。よくこんな壁みたいなところを下りてきたものだと我ながら感心。

この先、上高地までは危険な箇所はナシ。ただし、3キロほどのゆるやかな道を延々と下る。急な下りで足にも疲労がたまっているため意外とキツイ・・・しかし、上高地まで戻ってきた時の達成感・充実感がハンパない。また、絶対にここを登りに来る!そう決意した山野であった。


感想

水と空の青、雪の白、草木の緑、岩肌の茶、本来の険しい山稜を飾る豊かな色彩。

梓川沿いの穏やかなハイキングコース、ザイテングラート・吊尾根・重太郎新道の険しい岩稜の上り下り。変化の楽しめる登山道。

そして、日本第三位の高さを誇る山頂からの、槍・穂・笠・常念・乗鞍・焼岳を眺める大パノラマ。

山の美しさ、山の厳しさ、そして山を登る楽しさと、山の魅力を全て教えてくれる日本屈指の名山です。

登山情報
アクセス
上高地はマイカーでの乗り入れは禁止されています。上高地手前10kmほどの国道158号線沿いの沢渡(さわんど)という所に大きな駐車場があるので、そこに駐車し、上高地行きのバスに乗り換えます。

公共交通機関の場合は、松本電鉄新島々駅から上高地への直通バスがあります。
危険箇所

奥穂高の山頂に立つには、岩場を越える必要がありますが、ザイテングラートからのコースは、それほど危険ではありません。岩場初心者の方でも、慎重に登れば大丈夫だと思います。

重太郎新道は急な斜面に長い岩場鎖場ハシゴもある、難易度の高いコースです。初心者の方は、ザイテングラート経由での下山をお勧めします。
他ルート

奥穂高岳までは、北側の北穂高岳からのコース、西の白出沢を登るコース、そして南西の西穂高岳からのコースがあります。いずれも今回紹介するコースよりも難しく、特に西穂高岳からのコースは北アルプス一の険路とも言われている難コースです。

時間と体力と技術があれば、紀美子平から前穂高岳に登ることをお勧めします。厳しい岩場の登り(難易度★4つ)が続きますが、奥穂高岳以上の展望を楽しむことができます。
温泉

上高地に上高地温泉ホテル, 上高地ミエスタホテル, 上高地アルペンホテル,山のひだやなどの日帰り温泉があります。

また、駐車場の沢渡付近にも温泉はたくさんあります。
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