グレート百名山3つ


笠ヶ岳

( かさがたけ) 2,898m 日本百名山
岐阜県高山市
笠形の山頂からは北アルプスの山々を一望

体力 :
難易度:
満足度:

(写真: 抜戸岳から望む笠ヶ岳)

笠ヶ岳の紹介
どんな山?

笠ヶ岳は北アルプスの南部に位置する山。その名の通り山頂は笠のように三角に尖っていて、とても印象的な山容をしています。山頂からは正面の槍・穂高連峰をはじめ、北アルプスの山々を見渡せる素晴らしい展望が広がります。

コース紹介

新穂高より北アルプスを代表する急登ともいわれる笠新道と呼ばれるルートで山頂を目指します。山頂近くの笠ヶ岳山荘で一泊し、翌日は弓折乗越・鏡平を経由して新穂高に下山しました。

登山記録
登山日 2019年9月6~7日
天気 晴れ時々曇り
駐車場 新穂高
コース 新穂高(6:00)⇒笠新道登山口(6:55)⇒(10:30)杓子平(10:40)⇒(12:05)笠新道分岐(12:25)⇒笠ヶ岳山荘(13:30) / 7時間30分 (CT: 8時間30分)
笠ヶ岳山荘(17:25)⇒(17:40)笠ヶ岳(18:10)⇒笠ヶ岳山荘(18:20)
笠ヶ岳山荘(5:00)-笠新道分岐(6:00)⇒弓折乗越(8:15)⇒(8:40)鏡平山荘(9:05)⇒(10:45)わさび平小屋(10:55)⇒新穂高(11:45) / 6時間45分 (CT: 7時間40分)
新穂高より笠ヶ岳へ

新穂高

笠ヶ岳の登山口といえば新穂高。ロープウェイの少し手前にある新穂高登山指導センターに登山届のポストやトイレもあります。
夜中1時半に到着しましたが、無料の駐車場はもう満車。登山口に一番近い有料駐車場に止めました。翌日の昼に出庫して料金は3000円でした。

笠新道登山口

新穂高より左俣林道を1時間ほど歩いて、少し傾いた中崎橋を過ぎるとまもなく笠新道登山口があります。入口の石段の斜度がこの先の急登を予感させます。。

急登!?

笠新道は、北アルプスを代表する急登の一つで、北アルプス四大急登(?)とも呼ばれているようです。ただ、私が登った感覚では、等高線の間隔が狭い割には、登山道はジグザグに付けられていて坂自体はそれほど急だとは思いませんでした。
何か所かこういう梯子などもありますが、よく整備されていて歩きやすい道です。
ただし、途中には休憩できるようなポイントが少なく、樹林帯の中をひたすら歩くため、単調で辛い登りのように感じられます。

岩場

確か2か所あった岩場のトラバース。鎖もなく危険そうに見えますが、それほど怖くはないですね。
標高1700メートル、1900メートル、2100メートルの所に標識があって、そのあたりから樹々の間より少しずつ周りの山が見えてきます。
そして待望の・・・

槍・穂高・焼岳・乗鞍
槍・穂高・焼岳・乗鞍

杓子平へ

登山口からコースタイムで4時間20分で、杓子平というポイントがあるようなのですが、4時間やはりは長い・・
下山してきた方の話によると、あの岩を超えたあたりが杓子平なのだとか。もう一息!?

着いた!?

岩場を登り切るとようやく目の前が開けて、そしてその次の瞬間・・・

杓子平からの景色
杓子平からの景色

笠ヶ岳

突然姿を現した笠ヶ岳!

カール

そして、存在すら知らなかったカール。大きい。美しい。涸沢にも引けを取らない立派なカールです。この景色が見れただけでもう満足。それまでの急登の疲れが吹っ飛びました。

カールを登る

杓子平の先しばらくはカールの中を歩く気持ちのよい道。次第に急な登りになりやや段差の大きい岩場も現れます。

お花畑の秋

標高2,500メートルあたり。この辺りは夏はお花畑らしいのですが、9月にはもうすっかり花は終わって、紅葉の準備が始まっています。
笠ヶ岳はコバイケイソウが有名で、今年は当たり年だったそうです。もう少し色が着くとさらに綺麗なんだろな。

笠ヶ岳へ

カールを登りきった所が笠新道分岐。ここからはいよいよ笠ヶ岳への稜線歩きとなります。でも、少しずつガスが出て来て、笠ヶ岳山頂が見えなくなってしまったのは残念。。

テント場

ガスはさらに濃くなり、真っ白な中を歩いてテント場に到着。この日泊まる笠ヶ岳山荘はすぐ隣だと思っていたのですが、、、

ガレ場

小屋までは思いのほか遠く、しかも長いガレ場を登ります。テントの受付は小屋で、トイレも小屋にしかないので、テント泊の人はちょっと大変かも。。

笠ヶ岳山荘

ようやく笠ヶ岳山荘に到着!
とても新しい建物で、外も中も綺麗な小屋でした。そして、トイレも綺麗で臭わないのが一番うれしかった。自分が泊まった中では最も快適な小屋でした。

小屋に到着した時はガスガスだったので、ガスが晴れるのを期待して山頂に行く前にひと寝入り。。

笠ヶ岳にて

山頂へ

その後も笠ヶ岳はずっとガスで覆われたまま。
夕方になったらガスが晴れて、そうしたら山頂へと思っていましたが、日の入りの時刻も迫ってきたため、しびれを切らしてガスの中5時半頃に小屋を出て山頂へ。

後光??

山頂まではガレ場をずっと登ります。山頂手前にがあって、その隙間に差し込む光は、この後の出来事を暗示するかのような・・・

笠ヶ岳山頂 (標高; 2,898m)

笠ヶ岳山頂、標高2,898メートルに到着!立派な山容の山にしては、意外と狭くて地味な山頂。
なかなかガスが晴れないなと思ってたのですが、西側は日も差してきてこの状況なら・・・

ブロッケン&穂高

出ました!ブロッケン現象!
うん十年ぶりに見ました。(ちなみに、前回見たのは剱岳山頂)
そして、その後ろには奥穂高岳の姿も!

夕日

西側に目をやると、ガスの向こうから夕日が。ガスで乱反射するおかげで直射日光もまぶしすぎず、なんとも幻想的な美しい夕日でした。
結局山頂ではガスは完全には晴れるませんでしたが、素晴らしい自然現象を堪能して、日没前に下山しました。

ガス開け

笠ヶ岳山荘まで戻ってしばらく入口前のテラスでうろうろしていたのですが、真っ白だったガスがスッと引き始めて・・・

槍穂&滝雲

ついに現れた槍ヶ岳&穂高連峰!
そして、槍の手前には滝雲のお祝いまで。
もう、神がかっているとしか思えない!

夕焼け&雲海

最後を締めくくるのは夕焼けと雲海。奇跡的な現象が相次いで見られた笠ヶ岳山頂でした。

鏡平経由で下山

日の出

翌朝は4時すぎに起床。
笠ヶ岳の東側には槍・穂高という高山があるため、残念ながら御来光は見ることができません
2日目は山頂には立ち寄らず、日の出前に山荘を出発して、抜戸岳への稜線から朝の笠ヶ岳の姿を眺めることにしました。
出発前の時には槍・穂高の祝福。2日目もまたいい日になりそうな予感です!

朝の槍

朝日を浴びる笠ヶ岳~抜戸岳の稜線。その向こうには槍ヶ岳!今日も最高だ!

北アルプスの裏側
北アルプスの裏側

南アルプス&富士山

穂高の少し南側。よく見ると南アルプス。そして少し隠れた富士山。槍・穂高と合わせて日本の標高1-2-3-3-5位がそろい踏み!

乗鞍&御嶽

さらに南には乗鞍(左)と御嶽(右)。どちらも立派な三千メートル峰
こんなすごい山々に囲まれてるなんで、なんて素晴らしい場所なんだろう。

抜戸岩

景色が素晴らしすぎてなかなか前に進みませんが、ようやく抜戸岩。岩の隙間から笠ヶ岳が見えます。

モルゲンロート

ようやく笠ヶ岳にも朝日が当たって、少し遅めのモルゲンロート。日の出直後の太陽でなくても、山はほんのりと赤く染まるんですね。

抜戸岳

稜線から少しだけ外れた所にある抜戸岳。ここへの登りは、浮石が多くて少し危険なため初心者の方にはお勧めしませんが、山頂からは槍ヶ岳

抜戸岳からの笠ヶ岳

そして振り返れば笠ヶ岳の何と立派なこと!

槍&後光?

弓折乗越を目指してアップダウンしながら稜線上を歩きます。途中は北アルプスの山々を眺めながらのご機嫌の稜線歩きなのですが、やはり際立っているのは槍ヶ岳ですね。後光までさしてどや顔でした。

秩父平

少し下りた所が湿原っぽい場所の秩父平。久しぶりにほっとできる場所です。
9月上旬ですがもう草紅葉が始まっていました。

岩場あり

もう少し穏やかな稜線かと思っていましたが、秩父岩から弓折岳まではアップダウンも激しく、所々にこうした岩場もあり、意外と難所。

弓折乗越より鏡平へ

意外とキツイい弓折岳への登りを超えて、弓折乗越に到着。ここからは以前裏銀座縦走の時にも歩いた道で、はるか眼下に見える鏡平山荘に向かって急降下します。

かき氷

前回の鏡平山荘でやり残したことその1。かき氷
ブルーハワイ味を注文。氷はふわっとしてて美味しかったです。背景の爽やかな山肌ともよくマッチしてますね。暑い日はこれに限る!

鏡平からの槍穂

前回の鏡平山荘でやり残したことその2。
逆光できれいに撮れなかった逆さ槍
という訳で、見たい物は全て見れて、見れると思わなかった物までたくさん見れて、完璧な笠ヶ岳1泊2日の山行でした!

感想

笠ヶ岳は北アルプスのいろんな場所から見える存在感のある山で、いつかは登ってみたいとずっと思っていたのですが、実際に登ってみて、こんなに魅力の詰まった山だとは思っていませんでした。特に杓子平からのカールを纏った姿は、涸沢にも引けをとらない素晴らしい景色です。

もちろん、槍ヶ岳・穂高岳をはじめとした北アルプスの峰々の眺めも秀逸。北アルプスで最後に登った百名山となりましたが、最後の最後までにこんな素晴らしい山が残っていたとは、さすが北アルプスです。

登山情報
アクセス

笠ヶ岳の登山口といえばはやはり新穂高駐車場はたくさんあるのですが、有料・無料、登山者用・観光客用(営業時間が異なる)、登山口から近い・遠い、などいろいろあります。当然ながら登山口に近い無料駐車場は前日から満車の場合もあるので、事前にどこに止めるかよく考えておくのがよいと思います。

危険箇所

笠新道~山頂までは岩場も少々ありますが、それほど危険な場所はありません。

抜戸岳への登りは、浮石の岩場もあり最も注意を要する所。弓折岳までの稜線にもちょっとした岩場があります。

他ルート

南側のクリヤ谷のルートもポピュラーですが、急で道が悪い場所もあるそうです。

温泉

新穂高周辺には温泉はたくさんあります。登山口の近くなら、中崎山荘ホテル穂高など。

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